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フィナステリドとデュタステリドの違い|ガイドラインの推奨度と解説を比較する

フィナステリドとデュタステリドは、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」で、どちらも男性型脱毛症への内服が推奨度A(行うよう強く勧める)とされています。一方、女性型脱毛症については、どちらも推奨度D(行うべきではない)です。両者は阻害する酵素の型が異なります。両者を直接比較した臨床試験では、デュタステリドのほうが優れていた評価項目がある一方で、有意な差がなかった項目や、差がわずかだった項目もあり、ガイドラインは両者の差について今後さらなる検討を要するとしています。この記事では、ガイドライン本文(CQ1・CQ2)の記載を、一般名の範囲で整理します。なお、この記事では販売名は書きません(理由は最後の節に書きます)。

作用の仕組みの違い

ガイドラインの解説によると、フィナステリドは、テストステロンをより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換する「II型5-α還元酵素」に対する阻害剤です。これに対してデュタステリドは、この5-α還元酵素のI型・II型の両方に対する阻害剤とされています。

どちらもテストステロンからDHTへの変換にかかわる酵素を阻害する点は共通しており、阻害の対象がII型と書かれているか、I型・II型の両方と書かれているかが、ガイドライン上の作用の仕組みの違いです。

ガイドラインの推奨度

ガイドライン表1「Clinical Question(CQ)のまとめ」では、CQ1(フィナステリドの内服)とCQ2(デュタステリドの内服)のいずれも、男性型脱毛症に対する推奨度はA、女性型脱毛症に対する推奨度はDとされています。

推奨文は、フィナステリドについて「男性型脱毛症にはフィナステリドの内服を行うよう強く勧める.一方,女性型脱毛症には行うべきではない.」、デュタステリドについて「男性型脱毛症にはデュタステリド内服を行うよう強く勧める.一方,女性型脱毛症には行うべきではない.」となっています。女性型脱毛症に対するデュタステリドの臨床試験は実施されていない、とガイドラインに記載されています。

日本人を対象にした試験

ガイドラインは、フィナステリドについて、日本人男性414名を対象とした48週間のランダム化比較試験を紹介しています。頭頂部の写真撮影による判定で、1mg/日の群では58%、0.2mg/日の群では54%が「軽度改善以上」と判定されたとされています。

この試験に引き続き1mg/日の投与を続けた非ランダム化比較試験では、2年間の内服継続で68%、3年間で78%の症例が「軽度改善以上」と判定され、その率は増加傾向を示したと記載されています。ガイドラインは、少なくとも6カ月程度は内服を続けて確認すべきであること、内服を中止すると得られた改善は失われることもあわせて記載しています。

両者を直接比較した試験の結果

ガイドラインは、日本を含む国際臨床試験(917名の男性、観察期間6カ月のランダム化比較試験)を紹介しています。この試験でデュタステリド0.5mg/日とフィナステリド1mg/日を比較したところ、全毛髪数と毛直径の増加についてはデュタステリドのほうが優れた結果を示しましたが、直径60μm以上の硬毛数では両者のあいだに有意な差はありませんでした。

頭頂部・前頭部の写真を「著明悪化-3」から「著明改善+3」までの7段階で評価する方法では、治験担当者による評価では両群に有意な差がなく、3名の専門家による評価ではデュタステリドのほうが優れていました。ただし、その点数差は頭頂部で0.14、前頭部で0.24とわずかなものでした。ガイドラインは、このことから両者の差について今後さらなる検討を要するとしています。

副作用の報告状況

フィナステリドについては、12件のランダム化比較試験を解析したシステマティック・レビューで、性機能障害の相対危険度が1.39(95%信頼区間0.99〜1.95)とプラセボ群より上昇する傾向があるとされています。また、重要な副作用として、頻度は明らかではないものの、まれに肝機能障害があらわれることがあると記載されています。さらに、投与中は前立腺がんのマーカーである血清PSA濃度が約50%低下するため、前立腺がんの診断目的でPSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安に評価すべきだとしています。

デュタステリドについては、前述の国際臨床試験で、有害事象の頻度がリビドー減少3.3%、インポテンツ5.4%、射精障害3.3%でした。一方、国内の非ランダム化試験(120例、52週間)では、リビドー減少8.3%、インポテンツ11.7%、射精障害5.0%と比較的高率だったと記載されています。ガイドラインは、投与にあたっては添付文書の記載をよく読んだうえで、性機能障害を含めた副作用についても十分な説明と同意が必要だとしています。デュタステリドについても、PSA濃度を測定する場合は2倍した値を目安に評価すべきだとされています。

妊娠との関係では、どちらの薬も、妊婦に投与するとDHTの低下により男子胎児の生殖器官などの正常な発育に影響を及ぼすおそれがあるとされています。ガイドラインは、フィナステリドについては妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与を、デュタステリドについては女性への投与を、それぞれ禁忌としています。

年齢についての記載

ガイドラインは、フィナステリドについて、海外の臨床試験は18歳以上の男性に対して行われた一方、国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われたため、日本では20歳未満に対する安全性は確立していないと記載しています。デュタステリドについても、日本人男性については国際臨床試験で20歳以上の男性を対象に行われたため、20歳未満に対する安全性は確立していないとされています。あわせて、デュタステリドについては、これらの臨床試験では1年を超える長期投与での結果や、投与を中止したあとの毛髪量の変化は検討されていないとも記載されています。

この記事で販売名を書かない理由

厚生労働省の医薬品等適正広告基準は、医師の処方せんや指示によって使用することを目的として供給される医薬品について、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはならないとしています。当サイトはこの基準を踏まえ、一般名を挙げてガイドラインの推奨度と解説を紹介するにとどめ、販売名や、購入・処方を誘う書き方はしていません。使うかどうか、どちらを使うかは、診察した医師と相談して決めることです。

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最終確認日: 2026-09-27