AGA治療をやめたらどうなるか
AGAの内服治療を続けている人が気になる疑問のひとつが、やめたらどうなるかという点です。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」には、フィナステリドの内服について、やめた場合の一文があります。デュタステリドについては、ガイドラインが根拠とした試験では、やめたあとの毛髪量の変化は調べられていないとされています。この記事では、ガイドラインに書かれている内容だけをそのまま整理します。
フィナステリドの内服をやめた場合の記載
ガイドラインのCQ1(フィナステリドの内服は有用か)は、男性型脱毛症に対する推奨度をA(行うよう強く勧める)、女性型脱毛症に対してはD(行うべきではない)としています。推奨度Aの根拠として挙げられているのは、観察期間が6カ月から5年までの複数の試験で、いずれも内服を続けた期間の結果です。
そのうえで解説文の最後には、内服を中止すると、内服によって得られていた改善は失われる、という趣旨の一文があります。やめたあと、どのくらいの期間でどの程度変わるのかといった具体的な経過は、ガイドラインには書かれていません。
安全性について、ガイドラインは性機能障害の相対危険度が1.39(95%信頼区間0.99〜1.95)で、プラセボ群より上昇する傾向があるとしています。また、頻度は明らかではないものの、まれに肝機能障害があらわれることがあると記載しています。前立腺がんの指標である血清PSA濃度は服用中に約50%低下するため、前立腺がんの診断の目的で測定する場合は、2倍した値を目安に評価すべきだとされています。
デュタステリドは中止後の変化が調べられていない
CQ2(デュタステリドの内服は有用か)も、男性型脱毛症に対する推奨度はA、女性型脱毛症に対してはDです。根拠として挙げられているのは、複数のランダム化比較試験を解析した研究や、国内で行われた52週間の試験などです。
ただしガイドラインの解説文は、これらの臨床試験では、1年を超える長期投与の結果や、投与を中止したあとの毛髪量の変化は検討されていない、と明記しています。つまりデュタステリドについては、やめたらどうなるかは、ガイドラインの時点では分かっていない事項として扱われています。
副作用については、日本を含む国際臨床試験でリビドー減少3.3%・インポテンツ5.4%・射精障害3.3%、国内の試験(120例・52週間)ではリビドー減少8.3%・インポテンツ11.7%・射精障害5.0%と、国内の試験では比較的高い率だったと報告されています。ガイドラインは、投与にあたっては添付文書の記載をよく読んだうえで、性機能障害を含めた副作用について十分な説明と同意が必要だとしています。
推奨度は「やめた場合」を評価したものではない
CQ1・CQ2のどちらも、推奨度Aは内服を続けた試験の結果にもとづいています。やめた場合については、フィナステリドは解説文に一文の記載があり、デュタステリドは検討されていないと明記されている、という違いがあります。
年齢についての記載もあります。フィナステリドは、海外の臨床試験が18歳以上、国内の臨床試験が20歳以上の男性を対象に行われたため、国内では20歳未満に対する安全性は確立していないとされています。デュタステリドも、国際臨床試験が20歳以上の男性を対象に行われたため、20歳未満に対する安全性は確立していないとされています。また、フィナステリドは妊婦・妊娠している可能性のある女性・授乳中の女性への投与が、デュタステリドは女性への投与が、禁忌とされています。
外用薬についての記載
ガイドラインには、ミノキシジルの外用についても項目があり、男性型脱毛症には5%、女性型脱毛症には1%の外用が推奨度A(行うよう強く勧める)とされています。解説文では、男女とも外用の初期に休止期脱毛(抜け毛が増える現象)がみられることがあり、これが外用の中止につながるおそれがあるため、患者への説明が必要だとされています。一方、外用をやめたあとの変化そのものについての記載は、今回ガイドライン本文を確認した範囲では見当たりませんでした。
治療法ごとに分かっていることが違う
ここまでの整理をまとめると、やめた場合について書かれている内容には、治療法ごとに差があります。
- フィナステリドの内服: 中止すると、内服によって得られていた改善は失われるという趣旨の一文がある
- デュタステリドの内服: 中止後の毛髪量の変化は検討されていないと明記されている
- ミノキシジルの外用: やめた場合そのものの記載は、今回確認した範囲では見当たらない
いずれも、推奨度Aは続けた場合の試験結果にもとづく評価であり、やめた場合の経過を示したものではありません。
この記事の情報の範囲
ここで紹介した内容は、日本皮膚科学会のガイドライン本文に書かれている推奨度・解説文・数値を整理したものです。個々の症状の経過は人によって異なります。すでに処方を受けていて、やめることを考えている場合は、処方を受けた医療機関に相談できます。
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参考にした資料
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版 (日本皮膚科学会(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会)・確認日: 2026-09-27)
最終確認日: 2026-09-27