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ミノキシジルの内服はなぜ国内で未承認なのか

ミノキシジルの内服は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」で推奨度D(行うべきではない)とされています。ガイドラインには、ミノキシジルはもともと降圧剤として開発されたが国内では認可されていないこと、男性型脱毛症の治療薬として認可している国も無いことが書かれています。この記事では、なぜ推奨度Dなのか、ガイドラインと厚生労働省の資料に書かれている内容だけを整理します。

個人の体験や、薬の働きを保証する内容ではありません。

ガイドラインの推奨度はD

ガイドラインのCQ14(ミノキシジルの内服は有用か)は、推薦文として「ミノキシジルの内服を行うべきではない」と明記しています。外用のミノキシジルが推奨度A(男性型脱毛症は5%、女性型脱毛症は1%の外用を行うよう強く勧める)とされているのとは、扱いが大きく異なります。

解説文には、内服の有用性について臨床試験は実施されていないと書かれています。外用のように複数の試験で毛の状態が比較されているわけではなく、ガイドラインの時点では、治療としての試験データそのものが無いということです。

なぜ「未承認」なのか

ガイドラインの解説文は、「ミノキシジルは降圧剤として開発されたが本邦では認可されていない。また、男性型脱毛症に対する治療薬としても認可されている国はない。」としています。

続けて解説文は、全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に、医師が安易に処方したり、一般の人が海外から個人で取り寄せて服用したりすることがあり、医薬品医療機器等法の観点から問題視されている、と述べています。国の承認を受けていない薬は、承認のための審査を経ていないという点が、承認された薬との根本的な違いです。

なお、同じミノキシジルでも頭皮に塗る外用薬は、厚生労働省の2013年の審議会資料で、5%製剤と1%製剤(女性用を含む)が第1類医薬品(一般用医薬品のうち、とくに注意が必要な区分)とされています。

心臓や血管への副作用の記載

ガイドラインは、多毛症以外の副作用について報告は少ないとしながらも、内服用製剤の添付文書の市販後調査欄に、胸痛・心拍数増加・動悸・息切れ・呼吸困難・うっ血性心不全・むくみや体重増加といった、重大な心血管系障害が生じるとの記載があると紹介しています。

ガイドラインはこれらを踏まえ、ミノキシジルの内服療法は「利益と危険性が十分に検証されていない」ため、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに行わないよう強く勧められる、と結論づけています。

推奨度Dが意味すること

ガイドラインは治療法ごとに、A・B・C1・C2・Dの5段階で推奨度をつけています。Aは「行うよう強く勧める」、Bは「行うよう勧める」、C1は「行ってもよい」、C2は「行わないほうがよい」、Dは「行うべきではない」という区分です。ミノキシジルの内服に付けられたDは、この5段階のうちもっとも低い区分にあたります。

ガイドラインは、この分野では国際的にも根拠が不足していることなどから、推奨度の一部は委員会の合意にもとづいて決めた、とも説明しています。

医療機関の広告で求められる表示

厚生労働省の医療広告等ガイドラインでは、国の承認を受けていない医薬品など(未承認医薬品等)を自由診療で使う場合、医療機関のウェブサイト等での情報提供の条件として、通常の条件に加えて次の5点も十分に記載する必要があるとされています。

5点目について同ガイドラインは、国内で承認を受けた医薬品の副作用で健康被害があったときには公的な救済制度があるが、未承認医薬品等の使用は救済の対象にならないことを明示するよう求めています。

この記事の情報の範囲

この記事は、日本皮膚科学会のガイドライン、厚生労働省の医療広告等ガイドライン、厚生労働省の審議会資料の原文を取得し、該当箇所に書かれている内容を整理したものです。個別の医療機関が上の5点の表示を満たしているかどうかは、医療機関ごとに公式サイトを確認しないと分かりません。内服を使うかどうかの判断や、個別の製品の安全性についての評価を示すものではありません。

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参考にした資料

最終確認日: 2026-09-27